EC運営に立ちはだかる4つの壁と乗り越え方
投稿日:2019.12.12
最終更新日:2020.01.14
日々、EC運営についての悩みや相談を受けておりますが、みなさん本当に様々なお悩みがあります。
コンサルティングをしながら、こちらも勉強になることが多いです。
その相談内容やお悩みを分類すると、大まかに4つの障壁・問題点が見えてきます。
今回は、その4つの壁について、解決方法のご提案とともにお話したいと思います。
4つの壁とは
早速、4つの壁について触れていきましょう。
ズバリ、
- ノウハウの壁
- 技術の壁
- 人的リソースの壁
- 組織の壁
の4つです。
一つずつご説明していきます。
ノウハウの壁
これは、
- ECをはじめたいけど、B2Bの商売をずっとやってきたから何から手を付けていいかわからない
- モール出店するか、自社で出店するか迷っている
- モールはどこに出たらよいかわからない
- 自社カートは何を使えばいいかわからない
- 予算を組みたいけど、どれくらい売れるか、どれくらい費用がかかるかわからない
など、ECに関するノウハウが不足しているケースです。
ECをはじめるときや、オープン直後の店舗で最も多いケースですが、まれに年商数億円規模の中〜大規模サイトでも見られます。
この悩みの場合、ECの戦略自体の策定がしっかりできていないケースとなります。
ECが成熟してきた近年においては、入り口の戦略を適当にやってしまうと、どれだけ努力しても売れないという最悪のケースも想定されます。
この状態で、気軽にECサイトをとりあえず作ってしまうと本当に後々苦しみます。
乗り越える方法
ですので、ECサイトの立ち上げ時には「スタートアップコンサルティング」を使い、しっかり自社の強み・弱みや競合店の売り方などを分析し、自社の戦略を組み立ててから出店や制作に取り掛かる必要があります。
もちろん、ホームページ制作会社でもある程度は基本的なECサイトを制作することは可能ですが、やはりEC独自の目線での戦略を一緒に組み立てていけるパートナーが必要だと思います。
技術の壁
次に、運営を開始した後に問題になることが多い「技術」の壁です。
これは、ずばり、ECの運営に必須となるサイトや画像の制作技術はもちろん、広告やSEO、顧客管理方法などの個々の技術の問題です。
EC担当者が最低限できたほうがよいこと
ECを開設して間もない頃は、組織的にも1人か、専任は置けず他の業務と掛け持ちで0.5人のような状態でECを運営することが多いです。
その中で、全てを一人でやっていくのは本当に大変ですし、全ての知識や技術をマスターするのは実質不可能だと思います。
まれに、WEB制作会社で働いていた人や、EC運営会社から転職してきた人などは器用にやれてしまうこともありますが、そんなケースばかりではないでしょう。
では、EC担当として最低限身につけたいことは、
- 簡単な画像処理
- 基本的なHTML/CSS
- FTPアップロード方法
- 基本的なSEO、アクセス分析技術
この程度だと思っています。
業務の幅が幅広いEC担当者がここの技術を完璧に極める必要性は薄いです。
それぞれ極めようと思えばどれだけでも時間がかかってしまいますからね。
乗り越える方法
3つあります。
- 自社で地道に技術を蓄積していく方法
- 外部の制作会社に外注する方法
- 外部の個人に外注する方法
です。
自社で地道に技術を蓄積していく方法
蓄積した技術はその後も資産として会社に残ります。
最終的には一番コストはかかりません。
ですが、時間がかかる上に、それなりにセミプロレベルまで育成しようとすると、「センス」の部分で頭打ちになる可能性があります。
また、担当者が退職したり、異動になったりするとまたゼロからスタートすることになります。
またゼロから育て、技術を習得するのは非常に無駄も多く、効率的とは言えません。
長期間を通算して見てみると、結果的に一番コストが高くなる といった可能性もあります。
外部の制作会社に外注する方法
次に、外部の制作会社に外注する方法です。
制作会社は豊富な経験と、専門スタッフを抱えるところが多く、品質と納期を担保してくれます。
自社に技術がない場合は非常に頼れる存在になるでしょう。
ただし、料金は高めで、頻繁に依頼したり細かい作業まで都度依頼してしまうとコミュニケーションコストもかかりますし、もちろん費用も多くかかります。
外部の個人に外注する方法
最後に、個人に外注する方法です。
最近は、働き方改革の影響で副業を解禁する企業が増えてきています。
また、クラウドソーシングに代表される、個人のスキルを直接売買できる環境も整ってきました。
企業に依頼するとコストの面で合わない、、という場合もあると思います。
そういう場合には、個人に依頼する方法も検討すべきでしょう。
もちろんデメリットもあります。
個人ははっきり言ってピンキリですので、技術的に不足している人と契約してしまうケースや、副業で対応するがゆえに日中の連絡が取りづらいとか、納期意識が低く、期限に合わないことが多いといった点です。
これらは、事前にしっかり打ち合わせをしたり、技術や経験をヒアリングをしておくことで未然に防ぐこともできます。
上手く相性の良い個人を見つけることができれば、非常に強い味方になってくれるでしょう。
人的リソースの壁
3つ目の壁、人的リソースの壁です。
人的リソースの壁とは?
技術の壁と近い部分もありますが、要は自社内の人員では作業量的にこなすことができない場合に顕在化します。
EC専属担当者であれば、ある程度の時間を割くことができる部分もありますが、やはりEC担当者は非常に沢山の仕事を抱えています。
特にサイトの制作や商品登録などは時間を要する作業になりがちですし、効率化を考えると作業は一気にやってしまったほうが良いです。
そうなると、当然まとまった時間が必要になります。
このまとまった時間を確保することができなかったり、月により作業量が大きく変動すると繁忙期に作業をこなすことができなくなります。
これが人的リソースの壁です。
乗り越える方法
今の時代、いくら売上が伸びていたとしても簡単に「EC担当者を1人増やそう」と思い切れる企業も少ないです。
そうなると、現担当者でこなしていくか、外注を使う方法が候補に挙がります。
これについては、上記「技術の壁」と同様の内容になりますので割愛しますが、やはり企業に外注したり、個人に外注するという方法に落ち着くでしょう。
組織の壁
最後に組織の壁です。
組織の壁とは?
組織は、ときに合理的(と思われる提案を含む)な提案を、否定する場合があります。
主に経営者や事業部長など、ECを管轄する人間の問題である場合もありますし、社内の規定や慣習によって壁になることもあります。
具体的に言えば、
- 広告の調子が良くても、EC以外の部門が調子が悪く、ECに投資する決断ができない
- 経営者がECについての認識が低く、リソースを割いてくれない
- 頑張って売上を上げても、それを妬む人がいて、足を引っ張られる
- 慣習で在庫はECよりほかのチャンネルへ優先的に使われ、欠品がよく起きてしまう
など、本当に様々な問題があります。
乗り越える方法
この問題は、企業ごとの社風や、上司の考え方によるものだったりするので、EC担当部門やEC担当者個人として自分で乗り超えることは難しい問題です。
できることといえば、周りの人間の理解を得、協力を得ていくような人間関係を作っていく方法が遠回りのようで近道になるでしょう。
非合理的ではありますが、企業ではそういった人間関係で仕事の進め方、や協力具合が大きく変わってくることが多々あります。
まとめ
今回はEC運営に立ちはだかる4つの壁と、その乗り越え方をお話しました。
これ以外にも大小様々な壁は存在すると思いますが、よく相談を受ける内容を絞りました。
中小企業でのEC運営は何もかも足りていないし、壁も大きなモノに見えるでしょう。
そういうときこそ自社だけで解決しようとせず、外部のコンサルティングや制作会社・個人を上手く使い、最短で売上げアップと業務効率化を実現していくことが結果としてEC事業の成功に近道だと考えます。