D2C(DtoC)のメリット・デメリット
投稿日:2020.03.31
最終更新日:2020.03.31
D2C(DtoC)という言葉は、じわじわと盛り上がりを見せています。
そのメリットがクローズアップされる一方、デメリットや不安な面を払拭できず、D2C(DtoC)への舵を切ることができない企業も多いです。
今回は、代表的なD2C(DtoC)のメリットやデメリットを紹介します。
D2C(DtoC)メリット
それでは、具体的にメリットを見てみましょう。
自社のビジョンを素直に伝えられる
従来のメーカーの代表的な取引といえば、OEMやODMなどですよね。
小売業者などのブランドの世界観やヴィジョンをそのまま製品化する(させられる)ことが多かったと思います。
D2C(DtoC)は、自社の大切にする価値観(ヴィジョン)を、伝えたいターゲット消費者に誤解なく伝えることができます。
メーカーが独自の販売チャネルを持つことができる
D2C(DtoC)をはじめることにより、既存のOEM生産、問屋や小売店への販売などだけでなく、消費者に直接販売するチャンネル・機能を自社に持たせることができます。
これからの時代、既存の中間の流通チャネルはますます省略化されていくことは明らかです。
そのときに、直販のチャネルを持つことは、メーカーのリスク軽減や売上確保のためにプラスに働くことになるでしょう。
利益率が高い
例えば従来、
上代:5,000円
下代:2,500円
製造原価:2,000円
というような商品があったとすると、卸取引では粗利率20%(500円÷2,000円)となりますが、D2C(DtoC)なら、60%(3,000円÷5,000円)まで上昇します。
単純に粗利率が上がるだけでなく、当然そのマージンの間でセールやクーポン割引など、自由な販促手法を取ることができるようになります。
消費者からの意見をダイレクトに商品作りに反映させられる
個人的にはこのメリットが一番大きいと思います。
消費者と直接つながり、意見を取り入れながら改善をしていくD2Cでは、消費者からのレビューやSNSでの感想を直接受けることとなります。
従来の取引では一部ブラックボックス化されていたり、得意先からの情報開示が限定的であるこれらの貴重な情報を自社で蓄積し、改善や商品企画へのフィードバックを行うことが可能です。
これは、メーカーの本質的な競争力を確実にアップさせることとなるでしょう。
既存流通業者とのパワーバランスの改善
消費者への直接販売能力を持つことで、既存の流通業者への売り手としての影響力を高めることができます。
商談でも、自社が消費者から得た情報を元にした情報を交えることで、有利に進めることができる場合も増えるでしょう。
D2C(DtoC)デメリット
メリットの一方、デメリットもあります。
コストがかかる
一番の問題はコストの問題です。
従来、OEM先や小売店に任せていたマーケティング活動をすべて自社又は外注で進めることは、単純にコストアップ要因となります。
特に中小のメーカーは広告・宣伝能力に乏しいことがあり、これらのノウハウを手に入れるためには経験者を雇用したり、外注先に委託する必要がでてきます。
D2C(DtoC)以前でも、「ただ物を作ればいい」という時代でありませんが、まだまだこれらのコストを考慮していないメーカーは多いです。
ある程度の予算を確保していく必要があります。
製品の生産ロット確保が難しく、在庫リスクも
従来は大口の顧客からの大量注文によりコストを下げられた面もあると思います。
一方、D2C(DtoC)では、D2C(DtoC)ブランドを構築する商品の大部分を自社製品で準備をする場合が多いです。
当面の商品ラインナップを揃えるために、当初の1商品ずつの生産ロットを抑える必要があり、結果として製品原単価が上がってしまうことも多々あるでしょう。
また、現在の消費者ニーズは、奥行きが短く、また移り変わりも激しいです。
ある程度のブランド力を身につけるまでには、この経済的生産量のせめぎあいと在庫リスクはデリケートな問題として顕在化してきます。
人材育成の時間など人材面
コストの項目とも共通しますが、D2Cを実現するために、いつまでも外注を使っていると自社にノウハウが蓄積することはありません。
もちろんコアな業務と外注可能な業務を線引し、何もかも自社で対応する必要はありませんが、今まで企業のDNAに無かった業務を学習し、教え、引き継いでいくといった人材の確保、育成、離職リスク、マニュアル化などの時間的・金銭的コストは考えておくべきでしょう。
既存の卸先との軋轢が生まれる可能性
D2C(DtoC)ブランドが有名になればなるほど、従来のOEM元や卸先から価格や販売条件についての苦情やバッティングが生じるケースは増えてきます。
D2C(DtoC)を進めるには、かならず戦略的、計画的な既存流通経路の交通整理を行う必要があるでしょう。
また、その過程で取引が継続できなくなる可能性も十分起こります。
そうなる可能性を認識し、事前に既存の取引先への説明や意見聴取などを丁寧に進める必要があります。
個別できめ細やかな対応が要求される
消費者に直接販売をするということは、それを行ったことのないメーカーにとっては、非常に手間に感じることがほとんどです。
販売の手間、出荷・梱包の手間、フォローの手間など、数えればキリがないほど細かい作業が発生します。
しかも、それを個々の消費者に合わせた対応をする必要がありますので、現場のストレスも高まることもあります。
また、そのDNAを全社に認識をしてもらうまで地道な情報共有や、D2Cの意義を社内に説明をし続ける必要があります。
まとめ
D2C(DtoC)のメリットとデメリットをまとめてみました。
私(当社代表)自身、メーカーでD2C(DtoC)ブランドを立ち上げ、運営をしてきた数々の苦労を思い出しながらなるべく丁寧に書いたつもりです。
これからD2C(DtoC)のスタートを検討されているメーカーに、少しでも同じ苦労をしないように役に立てば嬉しいです。
また、当社ではこのような考えられるデメリットに対してトータルで支援するサービスを展開しています。
ご興味ある方は、是非お問い合わせください。