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COLUMN

楽天の送料無料ライン一律化に対しての、店舗組合の設立

最終更新日:2019.11.13

ちょっとだけ前になりますが、楽天市場の出店者およそ200店舗による組合が設立されたというニュースが公表されました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191109/k10012171091000.html
出典:NHKニュース

これについて、実際に店舗運営を長年してきた立場として、その経緯と、私個人の意見を書きたいと思います。

組合設立の背景

今回の問題は、2019年8月に楽天が発表した、楽天市場全体で送料無料ラインをほぼ3,980円に統一するという内容に反応したものです。

今まで、自社の採算やビジネスモデルに合わせた送料を設定できたのが、今後はできなくなってしまいます。
細かく見れば、九州の店舗が青森に出荷するときでも3,980円以上だったら送料をお店が負担せざるを得ない形になります。

もちろん、その送料は店舗が負担するものであり、結局は商品の価格に上乗せされることになります。

この楽天の一方的な方針変更によって、店舗が拒否反応をするのはある意味当然だと私も思います。

かくして、200店舗ものお店が団体を組織し、楽天の運営体制の改善を求める活動を始めたわけです。


↑こちらは、実際の楽天ユニオンのスクリーンショットです。

楽天のこれまでの成長の軌跡

楽天は、ライバルのAmazonと大きな構造の違いがあります。

自社で製品を仕入れ、自社の統一したサービス基準でわかりやすさや配送・物流システムの強化により急成長を遂げてきたAmazonとはビジネスモデルが異なります。
自社で在庫は抱えず、出店者を増やし、個々の店舗に配送や顧客対応を任せるスタイルです。

「主役は店舗」としてマーケットプレイスの運営に徹してきました。(本やCD・DVDなどのメディアに関しては以前から自社で販売を行っています)

さらに「ショッピング・イズ・エンターテインメント」というスローガンの元、インターネットショッピングの楽しさを演出する方針を貫いてきました。
個々の店舗の独自性や、競争の中で自然に高まるショップとしての魅力を、モール自体の売りとして成長をしてきたと言えます。

その思惑はピッタリ時代にマッチし、インターネットショッピングは、インターネットのインフラの普及とスマホの普及という大きな社会変化の中で急成長を遂げました。

ここまでは良かったと思います。

Amazonとのシェア争いで成長性に陰り

そんな楽天でしたが、近年はライバルであるAmazonの成長率がとても顕著になっていて、成長性に疑問符が出てきていました。
EC業界最大手の楽天は成長こそしているものの、それまでの勢いを失っていったのです。

その理由は、複数あると思いますが、

  • Amazonが強みの物流を抑えることで送料や配送スピードの部分で楽天をつきはなし、利便性に差が生まれたこと
  • 楽天は送料無料ラインが店舗によりバラバラで、買い物するときにお客さんが実質負担する金額を把握しづらかった
  • UI(サイトデザイン)がごちゃごちゃで、見ずらい、選びにくい

というような要因があるのは間違いないでしょう。

ネットショッピングという行動が、「楽しい、ワクワクする行動」から、「日常生活の中の当然の行動」に変わってきたことにより、「送料」「配送」「利便性」の面で、楽天の強みが相対的に薄れて行ったのではないかと個人的に考えています。

思えば、私も以前は楽天でよく珍しいものを探して買っていましたが、最近は殆どAmazonでの購入ばかりです。
こうした考えは、私だけでなく忙しいビジネスマンを中心に広がっていっているのではないでしょうか。

楽天にとっては、この利便性 特に物流部分に手を入れることが必須になっていったのです。

結構前からこの問題に対処はしていた

この物流の問題は、楽天はかなり早くから問題視はしていたようで、楽天スーパーロジスティクスなどの自社倉庫や自社物流のような仕組みを推し進めていました。
しかし、圧倒的な仕組みを持つAmazonの同サービス(フルフィルメントbyAmazon=FBA)に比較して、非常に制限が多く、広がることはありませんでした。

楽天カンファレンスでの発表

今年2019年1月に行われた楽天カンファレンス(楽天のショップに対しての状況説明や、今後の戦略を共有する会合)にて、送料無料ラインの一律化を発表しました。

具体的な送料無料ライン自体はこの時点での発表はありませんでしたが、構想だけは伝わり、店舗運営者はかなり驚きだったと思います。

それが、今回3,980円というラインで、かつ離島などを除く通常サイズの配送すべてが対象となる という発表がされたのです。

過去の歴史

実は、楽天は過去にもこのような重大な規約変更により、出店者と対立した過去があります。

詳しくは触れませんが、出店手数料を一律設定から、ロイヤリティ制に変更したときです。
その頃は私はECにまだ携わっていなかったので、詳しいことは知らないのですが、強く反対・抗議をしていた店舗が強制的に退店となったという事は知っています。

今回は、その強制退店といった過去を知っているからこそ、200店ものショップが団体で抗議をしたものと思います。
1店舗では楽天側に踏み潰されて終わってしまう、という危機感の現れでしょう。

今回のケースは、そのロイヤリティ制になったときと同じ位のインパクトがあると考えます。

今回の楽天の送料変更に対する反応

では、今回の楽天の送料に関する変更はどのように受け止められているでしょうか。

一般消費者

私が調べる限りでは、消費者としては歓迎されているように思えます。
まぁ消費者に不利益な変更ではないですからね。

なにより、「わかりやすい」という事は購買意欲を高める大きなポイントだと思いますので、これは素直に喜べるポイントだと思います。

出店店舗側

今回のユニオン設立でもわかるように、かなりの店舗運営者と見られる反対意見がWEBでは目立ちます。
店舗によってはビジネスモデルの根本的な見直しも必要になるほどの変化ですので、理解できます。

まぁ拒否反応を起こしている一部の店舗の声が相変わらず大きいのは考慮したとしても、言わないだけで反対の意思を持っている店舗もかなりの割合あるのではないでしょうか。
特に食品や、低価格品を取り扱っている店舗は負担が大きいと思います。

一方、高価格商品中心ですでに送料無料商品が大半を占めている商材の店舗は、ほとんど影響は無いため、無関心です。

このように、店舗によって受け止め方は大きく違いますが、今回の本質は、楽天の一方的なやり方に対する感情的な反発が大きいと推測されます。

楽天送料無料ライン一律化に関する私の意見

今は店舗運営から離れており、今回の問題も直接影響がない立場ではありますが、私の意見を述べます。

進め方がまずかった

先にも書きましたが、消費者からすれば、楽天で買い物をする動機につながる変更であると考えます。
それにより、楽天全体の魅力が高まれば、結果として個々の出店者に還元があるものと思います。

その意味では、必ずしも悪い見方ではありません。

ただし、店舗の商材やビジネスモデルにより影響度に差が非常に大きいこと。
また、内容が曖昧なまま方針だけが発表がされたことで、無用な不安が広がったこと。
これらの点で、進め方や段取りにおいてややお粗末と感じざるを得ません

もちろん、楽天としても「楽天ブランド」が崩壊する前に速やかに改革を進める必要もありました。
店舗への丁寧な説明やアンケートを慎重にやっていては、ライバルに情報が流れ先を越される恐れもあるでしょうし、なにより改革が進まなかった可能性もあるでしょう。
変化には痛みが伴います。

上場企業の立場もあり、企業価値向上の意味で店舗側とはトレードオフの関係にある株主も重視しなくてはいけない。

その意味において、仕方の無かった部分は認めるところです。

店舗とともに成長してきた楽天としては痛手

もちろん、出店店舗として見れば、最終的にはモール出店の魅力は、「出せば売れる」という点です。
結果として楽天が成長すれば、その恩恵を受ける局面も出てくるでしょう。

しかし、今まで店舗とともに成長をしてきた楽天としては、成長の原動力となる店舗の信頼を一つ失ってしまったのかな、という残念さが残ります。

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